ポケットサイズのシステム手帳

手帳を続けられたことがありませんでした。

高校生のころから、社会人になりたてのころまで、手帳を買っては、途中で使わなくなる。そんなことを繰り返していました。使いこなせたら勉強や仕事ができそうだから。そんな理由で、良さそうな手帳を探しては買って、胸を弾ませながら1ページ目を開くのですが、だいたい数ページで終わってしまいます。

「書き間違えたり雑に書いてしまったら、大切な手帳が汚れてしまう」そう思って気軽に書き出せなくなっていました。
気に入った手帳であるほど最初のページに書くときの緊張が大きくなります。きれいに書かなければ、という意識がどこかにあって、少しでも失敗すると、その手帳への愛着がすっと冷めてしまいます。


ポケットサイズのシステム手帳との出会い

あるとき、本革のポケットサイズのシステム手帳を買いました。当時の自分には少し高い買い物でしたが、使ってみて、はじめて「続く」という感覚を知りました。

理由はシンプルでした。中の用紙が取り外せるので、書き間違えても手帳本体が汚れる感覚にならないのです。それだけのことで、汚い字でも、走り書きでも、躊躇なく書けるようになりました。ポケットサイズで常に持ち歩けるから、ふと思いついたこともすぐに書き留められました。

書き間違えても平気。その安心感だけで、書くことへのハードルがぐっと下がりました。続けるために必要だったのは、良い道具との出会いでした。

メモを貼り、読み返す。アイデアが育っていく。

思いついたことや大切だと思うことがあれば手帳にメモを取り、家に帰ってから、それを大きいノートに全部貼り付けていきました。仕事のこと、プライベートのこと、気になったこともジャンルを問わず、時系列にただ貼っていく。それを読み返しながら、思いついたことを書き足していくうちに、不思議なことが起きました。

考えていることが、どんどん具体的になっていくのです。貼る作業で自然に復習ができて、パラパラとめくるたびに新しいアイデアが浮かんで、また書き足す。そのループの中で、漠然としていた「やってみたい」が、少しずつ輪郭を持ちはじめていきました。

もともと消極的な自分が、少しずつ動けるようになっていった。書くことが、そうしてくれたのだと思います。

「書く」とは、思いを外に出して認識し直す行為。

書くということは、頭の中にあるものを外に出して、自分でちゃんと見直す行為なのだと、今はそう思っています。認識することで新しいアイデアが生まれ、繰り返し読み返すことで「やりたい気持ち」が育ち、具体性が増していく。行動するためのエネルギーが、書くことで積み上がっていくのです。

スマートフォンでスケジュールを入力しようとして、通知に気を取られて何を書こうとしていたか忘れる。そんな経験はきっと誰にでもあると思います。手帳にはそういったノイズがありません。手書きにはスマホやパソコンにはない静けさがあって、落ち着いた状態で考えを深められる。そういう心地よい時間の中で生まれるアイデアは、きっといいものになる気がしています。

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