先日、「まちづくりフォーラム」という笠岡のイベントでお話をしてきました。
(「経済」という視点でまちづくりについて考えるために、地元で起業をした経験やSIRUHAのコンセプト、事業の形などが良い材料になるのでは?ということで声をかけていただけたようです。)
どんな目的で起業して、どんな順序で、どんな方法でやってきたのか?
SIRUHAの今までについての話をしました。
振り返ってみると少し変わった道のりで、良くも悪くも一般的ではない道の選び方をしています。
なので視点を変えて考えるキッカケにはなれるのかな、という気持ちで話をしてきました。
この記事では、フォーラム参加者の方がふせんに書いていただいていた質問について、僕なりのお返事を書かせていただきます。※すべての質問へのお返事はできていません。申し訳ありません(汗
【お金について】
・会社を辞めてから事業が軌道に乗るまでの生活費は?
起業してからの生活費については会社員の時に貯金をしていたので主にそのお金で生活をしていました。出来るだけ事業に集中したかったのでアルバイトなどはしていません。
事業のためにネットでの発信を勉強していたのですが、勉強のために立ち上げたブログで広告収入が入るようになったのでその収入を生活費としても使っていました。
・資金はいくら貯めていた?
ここに金額は書きませんが、3年ぐらいは最低限の生活をしていけそうだと思える金額を貯めていました。
・生活するまでどのくらいかかりましたか?
生活できるだけの収入になるまでに約4、5年くらいかかっています。
今は規模をもう少し大きくしたくて雇用を増やしたので、自分が生活できるだけの利益は出ていない状態です。
これから頑張って収支を合わせていく必要があります。
今までの流れとしては、
最初はリスクを減らすために、貯金で生活しながら設備投資なども最小限にして、一人で事業を回してみる。
一人で事業を回してみて、自分の中で「この仕事で生きていく」という気持ちが固まってきたので、リスクのあることにも必要であれば投資をする。
そんな感じでやってきました。
貯蓄のおかげで最初の2年間をあまり焦らずに土台作りに取り組めたことは、事業の軸をしっかりとさせるためにとても良かったと思っています。
【精神面について】
・精神的にはどうでしたか?
精神的には、楽しいし苦しいです。
好きなことを仕事にできるのはとても楽しいです。
好きなことを仕事にたときに好きなままでいられるかどうかは、事業の組み立て方や価値観、考え方によっても大きく左右されるのかなと感じています。
でもずっと仕事のことが頭から離れなくて仕事とプライベートの境目がなく、資金的に厳しければ焦りも大きくなるので苦しく感じることも多いです。
苦しさはあるけど楽しいしワクワクすることも多いので僕は起業して良かったと思っています。
・最初2年間は準備期間で収入がなかったと言っていたが、収入がない中での不安は?
収入がないとやっぱり不安で焦りがちです。でも今思えば最初の2年間は比較的落ち着いていました。
理由を考えると「貯金があった」「やらないことを決めてやることに力を集中させていた」この2つが大きかったと思います。
あと自分が思い描いていることをちゃんと実現できれば、たくさんの方に求められる仕事になるという確信はずっとあるので、それも今まで続けてこられた大きな理由の一つだと思います。
どうしても不安はたくさん出てくると思うので、それ以上の安心材料だったり、やりたいという意思が必要になってきます。
あと、やりたいことや目指すところは変わっていませんが価値観や物事の捉え方は起業してから色々と変わりました。必要性を感じて意図的に変えたところもあれば、人と出会って変えてもらったこともあります。
同じ状況でも、それをどう捉えるか?視点や価値観の違いで不安に対処できるかが変わってくると思います。
【大変だったこと】
特に困難だった事は?
自立をするときに大変だったこと。
・起業をすると、商品やサービスについてだけでなく、経理などの事業を運営するための様々な知識が必要になり、たくさんの作業も発生します。
そういった会社を運営していくために必要なことを身につけて日々こなしていく事が個人的に苦手でいまだに上手くできません。
今でも当たり前のことがわかっていなかったりもしていて焦りもあります。
・会社と違い周りの目がなくて勤務時間なども全て自分次第なので、取り組み続ける意思を保ち続けるのが大変だったりもします。
・自分の考え方を変えていくことも大変でした。会社を辞め、起業して一人で仕事をしていくタイミングでも色々考え方を変える必要があったし、雇用をするようになった今も考え方を変える必要性を感じています。必要性を感じてもなかなか変われなくてずっと苦労しています。
【やりたいことの見つけ方】
役立つから楽しいものはどうすれば見つかりますか?
役立つってなんだろう?自分の楽しいってなんだろう?って考え続けることが大切だと思っています。
そもそも自分は何の役に立ちたいのかを考えたときに、
僕はこれからの社会に対して不安があって、みんなが心地よく暮らせる社会ってどんな形なんだろう?とよく考えるのですが、自分だけではそんな未来は思い描くことさえ出来ないので、
だからみんながそれぞれ、今の社会と向き合って次の社会を作っていけるように、そのための役に立ちたい。自分にとっての「役に立つ」をそう意味付けしました。
自分の「楽しい」についてを考えるときには、まず今までどんなことに楽しいと感じてきたのかを洗い出しました。
子供の頃はブロックや何かを作るのが好きで、部屋の模様替えも好きでよくやっていました。そうやって色々振り返ると、自分は「目的に合うカタチを作る」ことが好きなんだと気づきました。
そんなふうに「役に立つ」と「楽しい」を考えていくと、少しずつ自分のやりたい仕事の形が思い浮かぶようになりました。
あと、そういった気づきはノートに書き留めてよく見返すようにしていました。自分の興味のあることをノートに書き留めて読み返すのは楽しくて無理なく続けることができました。
この習慣のおかげで自分の興味のある方向がはっきりとしてきたように思います。
【ブランド関連】
自分自身のブランド化はどう考えるか?
個人としての発信の方が身近に感じてもらいやすいと思うので個人としての発信も行った方が良いと考えています。
あと、このブランドを自分の後にもつないでいくか次第で将来的な自分自身の露出のスタンスも決めていこうと思っています。
ブランドとは何か?
同じ想いのもとで人が集まるための旗印のようなものだと思っています。
【今後の展望】
最終的に計画している会社規模とはどこを目指していますか?
最終的な会社の規模感はまだ決めていません。
自分のやりたいことを形にしていくためにはどれくらいの規模感が必要なのか?についてはずっと考えているのですが、会社自体はそれほど大きくする必要はないのかなと思っています。
会社を大きくすることよりも、行っていく仕事の一つ一つがどれくらいの広がりを持つことができるかが大切だと感じています。
コロナの影響もあってこれからさらに厳しく変化も大きくなっていくと思うので何よりもまず事業を継続できるように頑張っていこうと思っています。
今後SIRUHAをどう発展させていきたいか?
・「書く道具」と「出かける道具」について、もっと良いデザインを追求し続けたい
・そのほか暮らし全般の道具も、アイデアが生まれたら取り組んでいきたい
・物作りや起業で得た経験を発信していきたい
上記の3点にしっかりと取り組んでいける会社として発展させていきたいです。
【その他】
ものづくりには出口(販売先)の確保が安定につながりますがどのようなことを実施したのか?
「伝える」についてたくさん勉強しました。商品への想いやこだわりが伝わるように発信していくことが販売先の確保にもつながると思います。
学校より独学を選び。販路開拓を1カ所に頼り過ぎず、最初は知り合いには売り込まないという選択をしたとの話だったが、かなり厳しい設定だと感じる。限界を感じる事はなかったのか?
自分の作りたいと思っているモノを作るためには、複数の分野についての知識や技術が必要で、事業にするなら販売や経営についての知識も必要になります。それらをできるだけ早く身につけるには複数の学校に行くより必要な知識をそのときそのときで身につけていった方が良いと考えていました。また、最近は動画で丁寧に説明してくれるものもあり、わからないことはプロの方に教えてもらったりもしました。
販売については、最初は大変だけどそういう設定で結果を出せれば商品や発信の方法が良かったということなので自信につながり、規模を大きくするときにも安心して取り組めると思っていたのでそういう選択をしていました。
物作りについても販売のためのウェブサイト作りについても納得がいく仕事が出来るまでにはかなり時間がかかるのですが、自分の納得のいく仕事ができれば何かしらの成果が生まれてくれていたのであまり限界を感じずに済んだのだと思います。
苦しくなることはよくあったのですが、一つずつ階段を登っていく感じが楽しくもありました。
商品を売って変わった事は何か?
商品のデザイン、生産、販売までを一人で行う経験をして、働き方についての選択肢の幅が大きく広がったように感じました。
企業のあり方や働き方が見直されている中で、とても役に立つ貴重な経験だったと思っています。
多様に変化する日本の中で、将来笠岡でどのような職業選択ができるかを未来の社会人になる学生たちにアドバイスをするとしたら何を話しますか?
地方でもいろんな働き方ができるようになってきているので笠岡でも働き方の選択肢は広がると思います。
ただ、今の大変な状況の中で進路を考えることはすごく難しいことだとも思います。
具体的なアドバイスはできませんが、僕は「次の世代にも繋いでいける楽しい暮らしや社会ってどんなだろう?」ってずっと考えています。
自分の「楽しい」と感じる感性を大切にしながら、そんな暮らしや社会を少しずつ思い描いていく。少しでも思い描けたら今の社会と思い描いた社会を比べてみて足りないことを見つけていく。
そうやって自分は今の仕事を見つけました。
長くなってしまいましたが自分なりにお返事を書かせていただきました。お役に立てると嬉しいです!